平成17年度公開講座 (この講座は終了しました)

 公開講座の報告(H17.10.17)

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 平成17年度公開講座 (この講座は終了しました)

 

科学の創造芸術の発明

             元木幸一 (山形大学附属博物館館長)

このごろ「なんとなく息苦しいな」と思いませんか。今ほど世界中を閉塞感がおおっている時代はあまりなかったのではないでしょうか。大学でも会社でも愚痴ばかり聞くような気がします。そして「改革」の嵐。見せかけの新しさ。見かけは新しそうだが、けっして根本的な改革、革命には至らないものばかりが現れ、本当の新しいものを生み出す力が弱くなってしまったような気がするのは、私だけでしょうか。
 「改革」なんていりません。今こそ新しい
創造発明が欲しいのです。

 そこで科学と芸術という二つの分野で新しいものを生み出すメカニズムを解明したいと考えました。科学と芸術こそ、見せかけだけの新しさが許されない、本当の新しさをいつも追求する分野だからです。一方で、現在、工学分野で新しいものをまさに生み出している現場の人たちが話します。他方で、過去の新しい芸術と、それを生み出した歴史を考察する人たちが話します。
 毎週土曜日、科学の分野と芸術学分野の対決が見られるのです。乞うご期待!
 

 

主催     山形大学、(財)山形県生涯学習文化財団

開催期間  平成17年10月1日(土)、8日(土)、15日(土) 計3回

        毎回2講座(1講座90分)13:30〜17:00 

募集人員  一般市民、大学生、高校生 50名

受講料   3,000円

講師及び演題

1回目 13:30〜15:10
新たな眼底断層画像診断装置-OCTの発明-
山形大学工学部助教授 市村勉
15:20〜17:00
写真発明秘話:ニエプスとイメージの起源
山形大学人文学部教授  阿部宏慈
2回目 13:30〜15:10
コンピュータによる写真織りの技術
(株)織元山口代表取締役 山口英夫
15:20〜17:00
風景画の発明
山形大学人文学部教授 元木幸一
3回目 13:30〜15:10
有機EL開発物語
山形大学工学部教授 城戸淳二
15:20〜17:00
芸術を科学の力で未来へ〜文化財保存科学の世界〜
東北芸術工科大学教授 松田泰典

会場     山形大学工学部(米沢キャンパス)

          ●米沢駅から南西約2.8km
          ●米沢駅前から白布温泉行きバスで山大前下車(所要時間約10分)
          ●米沢駅前から市街地循環バス右回り(青色のバス)で山大正門前下車(所要時間約15分)

          *山形駅から米沢駅までの所要時間はJR約40分

申込:以下の要領で申し込んで下さい

   1.申込期間    平成17年8月22日(月)〜10月1日(土)
              10月1日は会場にて受付

   2.申込方法    募集要項(電話等で博物館へ募集要項希望の旨お伝えください。折り返しお送りいたし
             ます。)の「振込取扱表」に記入の上、郵便局で振り振り込みの手続きをして下さい。
              なお、下記の博物館事務室に直接ご来館の上、お申し込みいただくこともできます。
             講義初日に工学部会場でも受付ますが、その場合はあらかじめ博物館事務室にお電話
             等でご予約下さい。

   3.問い合わせ先  山形大学附属博物館(附属図書館3階)
              〒990-8560 山形市小白川町1-4-12
              TEL 023-628-4930(直通)

 公開講座の報告

@開校式

10日1日、待ちに待った公開講座初日です。館長の開講のあいさつとともに公開講座の幕が開けられました。これから始まる講座に受講生の方々の期待も膨らみます。

A 新たな眼底断層画像診断装置-OCTの発明-

 講師は市村勉助教授。市村教授はOCT発明者本人です。OCT発明やそれにまつわる特許の取得についてのお話。受講者の方から質問が相次ぎました。

B 写真発明秘話:ニエプスとイメージの起源

 講師は阿部宏慈教授。ニエプス、ダゲール等、写真の発明に関わった人物についてのエピソードをユニークに紹介。会場に受講者の笑い声が響きました。

C 講師の話に耳を傾ける受講者の皆さん

 工学部でも最も広い中示範C教室が会場。広々とした空間で、ゆったりとリラックスしながら第一日目を終えました。二日目も乞うご期待。

D コンピュータによる写真織りの技術

 第2日目最初の講師は(株)織元山口代表取締役の山口英夫氏。写真織りについて、会社経営のッ戦略を交えた興味深い話でした。講義中は写真織りによる織物が受講者の間にまわされ、皆さん手にとって触れていただきました。

E 風景画の発明

 2日目後半の講師は元木幸一教授。この時間は特別に重要文化財に指定されている、旧米沢高等工業学校本館の階段教室を会場に講座を開催。ランプの淡い光に照らされ、明治時代にタイムスリップしたかのような雰囲気。

F 有機EL開発物語

 有機ELの開発では世界的に有名な城戸教授が3日目前半の講師。4コマ漫画などを交えてのわかりやすく楽しい講座。最後にはTVで紹介された時のDVDが上映され、城戸教授の研究に対する思いを垣間見ることができた講座でした。

G 芸術を科学の力で未来へ
〜文化財保存科学の世界〜

 講師は東北芸術工科大学の松田泰典教授。文化財の修復、保存とは?と考えさせられる内容。科学的な調査についての説明時には本館所蔵の《菊子遊戯之図》を例として、さまざまな面からの調査方法を紹介していただきました。

H 閉校式・修了証書授与式の様子

 3週に渡る講座もいよいよ終了。閉校式では修了証書が館長から受講者代表に手渡されました。受講生の方々からはアンケートにて講座に対する感想をいただきましたが、大変好評でした。来年も是非いらしてくださることを願いつつ、平成17年度の公開講座の報告を終わります。